イタリア Alta Via 1 を歩く2泊3日(Day1)

標高3,000m以上の山が18峰ある広大な山岳地帯であるイタリアのドロミテ山塊。「山の塊」なんて、そんな単語があるんですね。イタリア北東部、オーストリア国境にほど近い南チロル地方に広がっています。2026年2月に開催された冬季オリンピックの開催地の一つでもあります。アルタ・ビア1(Alta Via 1: AV1)は、そこに位置する有名なトレイルで、トレッキング愛好者に人気の場所です。

去年、パタゴニアを3泊4日で歩いたことから、海外のロングトレイルの魅力を知りました。世界中のそういった魅力的なトレイルが紹介されているワールド・トレイルズ 世界は歩いてみたい「道」にあふれている - グラフィック社を見ていた時に、このAV1が紹介されていたのを知り、行ってきました。

日本語のAV1体験談が少なかったので、ここに記録して誰かの役に立てば幸いです。

今回の全行程

期間:2026年7月4日(土)~ 2026年7月6日(月)の3日間

Day1: ブライエス湖 ~ Rifugio Biella ~ Rifugio Sennesを超えたあたりまで
Day2: ビバーク場所 ~ Rifugio Pederü ~ Rifugio Fanes ~ Fanes高原を抜けたところあたりまで
Day3: ビバーク場所 ~ Lagazuoi湖 ~ Rifugio Lagazuoi ~ (ゴンドラ・バスでコルティナの街まで戻る)

AV1の中の一部を歩く2泊3日の工程を組みました。山小屋には泊まらずにテント泊です。AV1の全体は本当はもっと長い(10日くらいかかる)のですが、そんなに歩けないので短縮版です。

色々調べ、短縮版ではありつつドロミテの景観を十分に味わうことができる区間を切り取りました。万が一何か体調などに問題があった場合も2日目に途中で脱出できる(バスで街に帰れる)エスケープルートを確保しているので、良いルートだと思います。写真をのんびり撮ったり、たっぷり休憩を取ったり、行動時間もやや早めに切り上げるようにしているのでそんなにタフなスケジュールでもないはず。

全工程、奥さんと二人で歩いています。食料や水なども含め、それぞれ16kgほどのバックパックを背負っていました。

今回は1日目の行程のブログです。

ブライエス湖

07:01発の442番バスでドッビアーコの街からブライエス湖まで移動する。バスは一般的な乗り合いバスに見えるが事前にwebからチケットを買っておく方が良さそう(途中から乗ろうとした人がなぜか追い返されていたので混雑時には予約が必須なのかもしれない)。途中のバス停からも大きなザックを背負った人がどんどん乗ってきて賑やかになっていく。

30分ほどでブライエス湖のバス停に到着。バスを降りたらいきなり目の前にどどんと大きな岩山が見えていてテンションが上がる。良いスタート地点だ。天気もバッチリ。

湖の近くにはリゾートホテルもあり、その宿泊客が朝の散歩がてらたくさん歩いている。これから数日間のあいだ、山に入っていく人たちとは違い、手ぶらで散歩を楽しんでおり優雅だ。

ここから先のトレッキングコースでは、原則トイレが山小屋(Rifugio)にしかないので最後にここで済ませておくのが良い。

リフージョ・ビエッラ(Rifugio Biella)

想像以上に上りと日差しがキツく、もうそろそろ限界だ〜と思ったところで眼下に最初の目的地の山小屋が見えて安堵。初日なので体が慣れていない、最も荷物が重いというのもあるが結構ギリギリだったなぁ。。。

見晴らしの良いところで息を整えたりゆっくり写真を撮りながら、リフージョ・ビエッラに12:34に到着。

たくさんの人がお昼ご飯として料理を注文していた。
ドロミテはトレッキング客だけではなく、電動のマウンテンバイクで自転車を楽しむ人もかなり多い。自転車や自動車用の道路もたくさんあり、一部はトレッキングの道と併用されている。日本の山では見かけたことがない構成なので新鮮な面白さがある。

水不足(lack of water)とのことでトイレは使用できず、飲み水の補給もできなかった(販売はしていたと思う)。 C型のコンセントが開放されていたので自由に使えそうであったが何か飲食注文した方が良いね。

ビエッラの建物の近くで、見渡す限りズドンと抜けた気持ちの良い景色をみながら持参したサンドイッチを食べてお昼休憩をした。

13:38 出発

リフージョ・センネス(Rifugio Sennes)

リフージョ・ビエッラからリフージョ・センネスまでは比較的横移動が多く、ようやく景色を見ながらトレッキングを楽しむ気持ちがでてきた。土地が広い国の景色よろしく、見渡す限り平原が続く山というのが海外の山に来たな〜という気持ちを膨らませる。大陸の景色だ。

14:35 リフージョ・センネス(Rif. Sennes) 到着

ここには無料の水汲み場があり補給できた。2L強の水を持っていたが半分以上を飲んでいたのでありがたく補給。かなり暑く、若干熱中症気味。しっかり休む。

景色的には高原の牧場という感じで、牛がたくさんいてかなり和む。ここでキャンプとかできたら最高なんだろうなという感じ。

レストランではビールを飲んでいる人たちもたくさんいる。メニューを見たが、山小屋は街と比べると意外に良心的価格だった。AV1に位置する山小屋はどこも車でアクセスできるようになっているみたいで、物資搬送のコストはそれほど高くなさそうだからかもしれない。トイレも水洗で非常に綺麗。

15:33 出発

リフージョ・センネスからもう少し歩いたあたりでビバーク

初日というのもあり、荷物の重さと日差しの強さでかなり疲れてしまった。リフージョ・センネスから1時間ほど歩いたあたりで、明日以降に備えて今日はこれ以上歩くのをやめることにした。

トレッキングルートから外れ、人目につかない場所でテントを設営できそうな物陰があったのでそこにテントを張る目星をつけて今日のラップアップを始めた。

17時ごろといえば、日本の山ではテントの設営などもすっかり終わっている時間だが、この時期のイタリアは21時ごろまでまだまだ明るいので、こんなに明るいうちからテントを設営するのはいろいろマズそうであった。実際にここまで歩いても1つもテントを張っている人を見ていない。

偶然通りかかったグループの人たちが、荷物量的に絶対にビバークをしそうな人たちだったので、「ビバークって実際どうなの?なにかルールとかあるの?」と聞いてみると以下のことを教えてくれた。

  • トレッキングロードや山小屋の近くはダメ。みんな岩陰や木の影に立てる
  • テントを立てるのは日の入りの1~2時間前くらい。明るい時に立てるのはダメ。
  • 実際、ビバークをする人は日の入りの限界くらいまで歩いて、そろそろ暮れそうだという周辺で適当なビバーク場所を決めるらしい。
    • テントの撤収もみんなの行動時間に入るまでに早めにやるべきらしい
    • ビバークは暗黙の了解みたいな感じらしいので、「ビバークするぜ」みたいなことを気軽に話すのは違うらしい。バックパックにテントを吊っている人もいたが。だいたいカバンの大きさでビバーク組かそうでないかはわかる。ビバークする人は一週間~10日間とか歩くらしいので。

この時期のイタリアは大体21時過ぎに暗くなり、朝は5時半くらいには明るくなっている。なので、19時以降くらいにテントを張るかどうか、朝は6,7時には撤収しておくという感じらしい。 (天気的には、午前は天気が安定するが午後は雷雨になったりするのが多いらしい。なので天気との都合もある)

21時にはいつのまにか気絶するように眠っていた。ただ、夜中に寒さで目が覚めた。おそらく5℃を切るくらいの気温だった。ダウンを着て寝る。

日中は日差しが差せば(影がない場所を歩けば)熱中症にならないように気を付ける程度には暑く、しかし日陰はしっかり涼しく肌寒いので長袖が必要になり、朝晩はダウンが必要なほど寒い。1日の中でも夏から冬にかけた装備が必要になるので荷物は多くなり装備も比較的しっかりしたものが必要になる。ムズめではある。

思い返すと、3日間の中でもこの日が最も大変な日だった。そもそも日本でも6月はかなり雨が降り週末に慣らしのための登山に行くことがほぼできなかった。久しぶりの重量での長時間行動、かつビバークが現実的にはどのような感じなのかあまり分かってなかったので心理的にも焦りがあったりしたからかな。

Tips:ルート確認について

ところどころ、写真のようにルートを示す目印があります。今回はAlta Via 「1」を歩くので「1」を目印に進むと良い。しかしところどころ、1ではない道を併用することもあり確認が必要です。その場合に、日本でいうYAMAP的なアプリとしてOrganic Mapsというアプリがおすすめです。完全無料のオフラインGPS地図アプリです。YAMAPほど細かな機能はありませんが、道を確認するには十二分なアプリ。(最近では珍しい、コンセプトが強いアプリなのも好印象です by エンジニア目線)

Note:ビバークの注意点について

この記事ではビバークについて触れましたが、注意点も書いておきます。

AV1が通る「ファネス・センネス・ブライエス自然公園(Parco Naturale Fanes-Senes-Braies)」および隣接する「アンペッツォ・ドロミテ自然公園」では、公園規則上テント泊は禁止されており、違反すると罰金が課される可能性があります。公園当局や森林警察によるパトロールも行われています。

この記事で書いているのはあくまで現地で聞いた「暗黙の了解」としての慣行であり、推奨するものではありません。実施は各自の責任で、最新の公式ルールを確認してください。

(岩陰に貼られた他の人のテント)

Day2に続く